ロンドンサブカルチャーに影響を与え、スキンヘッズ/Oi !(オイ)パンクのシンボルとなった「時計じかけのオレンジ」のTシャツ USインポート品
1962年にイギリスのウィリアム・ハイネマン社から出版され、1971年にスタンリー・キューブリックによって映画化された、アンソニー・バージェスの小説「時計じかけのオレンジ」のデザインTシャツです。
実はこの有名なイラストには、書籍と映画の間の相互フィードバックを経てシンボル化されていったという事情があります。
まず1971年にワーナー・コロンビア配給により制作されたスタンリー・キューブリック監督による映画のポスターは、Philip Castle(フィリップ・キャッスル)によって三角形の構図のものがデザインされました。
そして映画公開後の1971年にペンギン・ブックスから出版されたカナダ版のペーパーバック本の表紙では、キューブリックによる演出に影響された、ボーラーハットと睫毛を強調したDavid Pelham(デヴィッド・ペルハム)によるイラストが採用されます。
アゴから下がカットされたデザインの由来
一方で、1971年12月、NY、LA、サンフランシスコ、トロントで開催された4都市プレミア契約をはじめとする北米市場での展開に合わせて、映画版はX-Rated(成人指定)のアナウンスを行う必要が生じていました。キューブリックはそのアナウンスの際に、既にアイコン化されていたキャッスルの三角形ポスターとは異なるデザインを求めていました。ちょうどカナダ版のペーパーバック本の表紙が気に入っていたキューブリックはごく短期間の X-Rated アナンス用ポスターとして、ペルハムのデザインから顔の部分だけを取り出したポスターを作成、かくして「映画のファッションスタイルを反映した書籍カバーデザインを転用した映画ポスター」という非常に紛らわしいデザインポスターが誕生することとなりました。
「時計じかけのオレンジ」のトレードマークで、アゴの部分が切れているイラスト(映画版X-Ratedアナウンス)、切れていないイラスト(書籍版)が混在しているのは、このような事情によります。
また、元々デザイン版権の所在の曖昧なものが、さらにスキンヘッズというサブカルチャーにおいてシンボライズされていったため、さまざまなグッズがオフィシャルライセンスの正規品など存在しない時代に拡散し、缶バッジのようなブートレググッズ、ブートレグTシャツからTatoo(タトゥー)までが流行する原因にもなりました。
タイトルロゴには映画ポスターのヴィンテージ書体と、インターネット普及以降にパロディフォントとして誕生したルックライクな(それっぽく見える)フリーフォント書体(※近年はCopyright品なのにこちらを使ってしまっている製品も多々あり)の2種類が存在し、タイトルの頭に冠詞の「A」が入っているものと入っていないものが存在します。初代映画ポスターの三角形はこの冠詞の「A」をもじったものですが、キューブリックのX-Ratedポスター以降、次第に映画版からは「A」が取り除かれていった経緯があります。
イメージカラーであるオレンジを基調としたポスター/Tシャツが多い同作品ですが、「カラーコーディネート的にオレンジ色よりモノトーンが欲しい」という多くの方からのご要望を受け、あえて今回はモノトーン版をリリースしている数少ないメーカーから単色プリントTシャツを入荷いたしました。供給の不安定な製品ですので、お気に入りの方はご購入はお早目に!